歩みを知る
TAMURAの沿革
1924年に創業したタムラ製作所は日本では最も歴史のある電機企業のうちの1社。
1935年に自社開発した高品質のラジオ受信機用トランスから始まり、
多種多様なエレクトロニクス製品を生み出しました。
創業 タムラ製作所の始まり
田村得松は、旧制中学を卒業後、新聞記者として活動していましたが、米国の高度な科学技術に憧れを抱き、1907年に20歳で単身渡米。デトロイトで自動車技術者として働きながら夜学にも通い、機械技術の習得に励みました。1922年に帰国すると、日本では放送実験の段階にあったラジオに関心を持つようになります。翌年、機械技師としてラヂオの試験放送に立ち会い、「これからはラジオの時代がくる」と直感。独学でラジオの研究を始め、二球再生式真空管受信機を作り上げました。そして日本のラジオ本放送開始に先駆けること1年、1924年にタムラ製作所の前身となる田村ラヂオ商会がスタートします。
電子部品
「トランスを
自分の手でつくる!」
1928年、得松はオーディオトランス、スピーカ、ピックアップの本格的開発を開始。故障の原因を調べるうちに原因の多くがトランスにあることに気づきます。輸入品は高価すぎて修理に使えず、トランス専業のメーカーなど国内では見あたりません。「トランスを自分の手でつくる」と得松は決心します。米国から文献を取り寄せて独学し、試行錯誤を繰り返し、巻線機や適切な測定器も市販されていなかったので、これも自作しました。1932年から商標「ビルトライト」を使用。これは得松の理念である「正しく立派な製品をつくりあげる」という意味を象徴する造語です。
電子化学
「ソルダーライト」
フラックスの完成
トランジスタの出現で電子部品の小型化が進み、はんだ付けに細かい作業が求められるようになりましたが、当時はトラブルも多くありました。そんななか、1956年に技術部が日本初の完全非腐食性はんだろう接剤「ソルダーライト」フラックスを発明します。この発明で電子化学材料の領域が将来有望な分野であると確信した当社は、同年、専門の研究・製造部門を設置し1957年にアルミニウム用のフラックスを開発します。この年はまた、電子機器用の接着剤「セメンタイト」を開発。翌年は「ソルダーライト」フラックスの国内での特許登録が確定しました。
情報機器
「ラヂオの故障のときは、
田村ラヂオストアへ!」
創業当時の田村ラヂオ商会は海外から最新のオーディオ製品や部品を輸入・販売していました。GE社やテレフンケン社の高級セットが並ぶ店と、ラジオマニアを中心に口コミが広がりました。得松はラジオ製作やバッテリ配達の合間に、高価な輸入品やその部品を分解して仕組みや素材を調べ、徹底的に研究しました。欧米に負けない性能を持つ部品の、国産化の急務を痛感していた得松の予見通り、ラジオやオーディオは急激に発達し普及します。1930年には屋号を「田村ラヂオストア」に変更。このころ、JOAK東京放送局(現NHK)のラジオ故障相談所に指定され、毎晩のニュースの後、「ラヂオの故障のときは、田村ラヂオストアに相談に行ってください」と放送されていたといいます。