トップメッセージ

「事業戦略」「働き方改革」「業務改革」の三位一体の取り組みを通じて、脱炭素社会実現に貢献してまいります

タムラグループは、「カーボンニュートラル」など2020年に加速した市場ニーズへ対応し、事業を通じた社会課題の解決を一層推進するため、“Oneタムラ戦略”の取り組みを強化しています。コロナ禍における業績および中期経営計画の進捗状況をご報告するとともに、サステナビリティ経営で目指すべき方向性について会長・社長の両名からご説明します。(インタビュー実施日:2021年5月20日)

社長画像
 

国連グローバル・コンパクト
支持表明メッセージ


タムラグループは、国連グローバル・コンパクトの人権、労働、環境および腐敗防止の 4分野に関する10原則を引き続き支持し、推進してまいりますことを、ステークホルダー(利害関係者)の皆様方に宣言いたします。

  



 
  
代表取締役社長
浅田 昌弘



新型コロナウイルスの影響等も踏まえ、2020年度の事業環境についてお聞かせください。

浅田 2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の停滞の影響で、特に第2四半期までは売上・利益共に大きく落ち込みました。しかし10月以降はやや持ち直し、緩やかな回復基調にあります。
事業別では、電子部品事業と電子化学事業が回復に転じている一方で、はんだ付装置や自動販売機向けのLED関連製品などは、顧客企業の設備投資抑制などにより苦戦しました。生産体制については、ロックダウンが実施された国を中心に多少の混乱はあったものの、大きなトラブル等は発生せず、後半以降はコロナ禍においても以前と変わらぬ生産体制を整えることができています。
2021年に入ってからも逆風は続いており、特に2月以降は原材料である錫、銀、銅、鉄など金属価格の高騰が電子化学事業や電子部品事業にとって相当な痛手になっています。また、新型コロナウイルスの影響で航空機や船の便が大きく減少し物流に影響が出ていると共に、運賃も高騰しています。どちらもまだ出口が見通せない状況ですが、下期には落ち着くと見ています。



2020年度の業績と中期経営計画の進捗状況などはいかがでしょうか?

浅田 2020年度の業績は、対前年比で売上高が7.2%のマイナス、営業利益が14.0%のマイナスとなりました。事業別では、電子部品、電子化学実装が減収・減益となった一方で、情報機器は年度末の需要拡大期における売上を計画通り確保し、減収でありながらも増益という結果でした。中期経営計画の進捗としても、残念ながら目標に手が届かない状態で2年が経過しました。
現中期経営計画の最終年となる2021年度も、引き続き新型コロナウイルスの影響が長引くと予測しており、目標達成は困難であると見ています。そのため、2021年度はアフターコロナを見据えた種まきの期間と位置付け、2022年度から始まる次期中期経営計画でスタートダッシュできる状況に持ち込み、そこからV字回復を図っていきたいと考えています。



Oneタムラ戦略として実施された施策と1年間の手応えや成果を教えてください。

浅田 Oneタムラ戦略は、将来へ挑戦する「事業戦略」、働きがいのある会社を目指す「働き方改革」、仕事の効率を高める「業務改革」を推進し、 “Oneタムラ” を実現するという三位一体の取り組みです。
この取り組みを進めるため、2020年には「経営層の担当配置換え」を実施すると共に「戦略的事業での事業部連携強化」を図りました。担当配置換えで事業部門のトップが入れ替わったことから事業戦略図も新たに描き直すこととし、縦軸に「新規の製品・技術」と「既存の製品・技術」を、横軸に「既存市場」と「新規市場」を当てはめた「4象限マトリクス」を作成して、持続的な成長に欠かせない新たな事業をどのように創造していくのか、今後目指すべき方向性を定めました。
また、「新規市場」における「新規の製品・技術」を創造するため事業部横断の研究開発を進めるなど、事業部連携もこの1年で大きく前進しました。例えば、電子部品と電子化学の開発者の合同チームによる新製品創出プロジェクトが進行中です。さらにこの4月からは「事業改革推進室」を設置し、これまで以上にマーケティング強化を念頭に置いたプロジェクトも起ち上げました。会長と私を含めた経営層も参加して、事業を根本から見直す改革を力強く進めていく考えです。



Oneタムラ戦略では、コロナ禍で加速したニーズ
特にカーボンニュートラルへの貢献を打ち出しています。


浅田 最近、国内外の企業から「将来的に温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」とする宣言が続々と打ち出されています。当社は従来から風力発電や自動車、充電用など、エネルギー変換の基幹となる「高信頼」「高効率」の電子部品を取り扱っており、これらの製品群をさらに強化していきます。今後は、脱炭素社会の実現を念頭に置いた新しい製品・サービスを生み出し「カーボンニュートラル」というビジネスの潮流に追従し、大きな目標を掲げて新たな事業戦略に紐づけていく必要があります。
自動車については、EV車が主流となるまでには少し時間があり、HV車もまだまだ伸びていくと判断し、車載用昇圧リアクタの生産体制を拡充しています。グループ会社の若柳タムラ製作所に新設した工場では、2019年より本格量を開始しています。坂戸事業所でも2020年12月に新工場が竣工、2021年度中に生産設備を入れ、2022年度の前半から生産を開始する予定になっています。また海外では、中国において製造拠点の最適化を進めており、佛山に車載用昇圧リアクタ工場を新設したほか、深圳にあった電源関連製品の工場を蘇州・深圳の2工場に再編しました。




 
  
代表取締役会長
田村 直樹



温室効果ガスについては、
次期中期経営計画の策定に先立ち新しい削減目標が定められました。

田村 当社では社外取締役も含むCSR経営委員会を定期的に開催しており、この議論の中で「もう少し長期的な戦略が必要ではないか」というご指摘をいただいていました。カーボンニュートラルへの貢献やガバナンスコードの遵守などお取引先や株主の皆様からの様々な要請にお応えするためにも、ここで一度「タムラ製作所らしい新たなサステナビリティ戦略」を描くべきであると決め、そこに至るアプローチとして、まずは当社のマテリアリティ(重要課題)を抽出することとしました。
このマテリアリティ策定作業の中で、課題の1つである温室効果ガス削減については、社会的な要請が高まっていることを踏まえ、2030年までに2013年度比で51%削減する新たな目標を先行で決定しています。もちろんカーボンニュートラルが意味するところは「温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」ことですので、そもそものエネルギー調達方法の見直しも視野に入れ、今後は積極的に再生可能エネルギーの調達を図っていくつもりです。例えば、坂戸事業所ではNearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)として建てられている事務棟に加え、車載用昇圧リアクタ新工場の屋上に太陽光発電設備を新規導入することも検討しています。



マテリアリティ策定作業の進捗と新サステナビリティ戦略の公表予定を教えてください。

田村 マテリアリティは、候補に挙がった項目を「社会から見た重要度」と「タムラから見た重要度」という2つの視点からそれぞれ評価し、重要度が高いエリアに入った項目をリストアップしました。決定した9つの重要課題については、13ページで詳しく紹介しています。今期2022年度からスタートする次期中期経営計画の立案を開始いたしますので、特定されたマテリアリティを各事業部の戦略にも展開できるようにしたいと考えています。
新サステナビリティ戦略は現在策定中ですが、長期的な指針として次期中期経営計画に取り込むことが必須であると考えているため、こちらも詳細を詰めて事業戦略と融合した形で展開し、次期中期経営計画と同じタイミングで公表する予定です。



最近、SDGsが改めて社会から注目を集めていますが
2020年度は、どのような取り組みを実施されましたか?


田村 SDGsは、2015年9月に国連で採択されてから既に5年以上経過し、貢献するか否かよりも取り組みの中身が問われる時期に来ています。私自身、これまで以上に推進責任者として責任の大きさを感じることが増えました。
2020年度は、SDGsに関わるものとして「タムラグループ品質方針」を改定しました。もともと「製品・サービスを通じて世の中に貢献する」ことが当社の最も基本的な社会的責任であるわけですが、その基盤となる品質についてもう一度原点に立ち返り、たゆまぬ品質向上こそがタムラグループにとってあたりまえの文化であることを再確認したという意味もあります。これがあたりまえの文化であるからこそ、製品品質を超えて企業全体の質を高めることになり、最終的にはすべてのSDGsにもつながっていくという考えです。この新しい品質方針を羅針盤として具体的な行動に落としていきます。
また、目標8の「働きがいも経済成長も」に関わる施策として人事制度改革をさらに進め、意欲のある人材を年齢や性別に関係なく重用する制度に改定しました。さらに、新型コロナウイルス感染防止の観点から積極的にリモートワーク等を活用したことが、結果として育児や介護の問題を抱える従業員にとっても働きやすい環境整備にもつながっています。



最後に、今後の課題と目指す方向性、100周年に向けた抱負をお聞かせください。

浅田 目下の社会課題である「カーボンニュートラル」に対して、当社の製品群が非常に有効であると考えていますので、中期経営計画の核である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」に関連する分野を中心に信頼性と効率性に優れた新製品を開発・上市して、業績全体をけん引する戦略製品に育てていきたいと考えています。
さらに、戦略製品を生み出す現場のイノベーションを支援するため、ICTを積極的に活用した業務改革を推進します。人の多様性を尊重した働き方改革を進め、一人ひとりの希望と能力に添う人事制度を整備し、社員が本当に働きがいを感じられる会社としていきます。こうしたイノベーションを生み出すための組織風土づくりが、次期中期経営計画のスタートダッシュに必ずや結びつくと信じています。

田村 コロナ禍で過ぎた1年は、社外での活動が大きく制限を受けた反面、働き方改革や人事制度改革など内部的な体質強化を一気に加速できたというポジティブな側面も少なからずありました。事業面においても、新たな事業戦略図を描くと共に力強いポートフォリオを構築し、アフターコロナのビジネス環境に対応できる強靭な経営基盤を整えることができたと確信しています。これからもタムラ製作所は、社会から必要とされる企業であり続け、間近に迫った100周年に向けてさらなる高みを目指してまいります。ステークホルダーの皆様には、これまでと変わらぬご理解・ご支援をお願いいたします。







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